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第37回: ニセモノがもたらす本物の安心

気づくところ・気づかないところ、日常生活の様々なところでITの活用が進んでいるが、「夢と魔法の王国」もその例外ではなく、フロリダ州にあるディズニーワールドに入場するには、磁気カードと掌形(人差し指と中指)による認証を受ける必要がある。年間入場券の不正使用を防止するために始まったこの個人認証システムについては、「右手でも左手でも再入場できた。実はダミーなのでは?」という声もあるようだが、ダミーというわけではなく、指の形は左右で大差がないことが理由と推察される。

しかし、より重要な安全管理の分野で、本当にダミーが使われているところもある。例えば、サンフランシスコの地下鉄BARTでは、各車両の天井に4台の監視カメラが設置されているが、サンフランシスコクロニクル紙によると、この中にはダミーも含まれている。

また、米国最大級の貨物港を管理する某危機管理責任者は、9-11事件後に爆弾探知犬を導入したくても供給や予算が不足していたため、普通のジャーマンシェパード犬を何匹も買ってきて、いかにも本物らしく警備員と一緒に巡回させたそうだ。後者については定量評価はできないが、前者については器物損壊などの犯罪が激減するという効果があったという。

筆者は先週ロンドンに滞在していたのだが、噂どおりどこを見ても監視カメラばかりだった。ウォールストリートジャーナル紙によると、ロンドンでは実に50 万台以上もの監視カメラが稼働している。常に監視されているというのは気持ちよいものではないが、慣れない夜道を歩く際などは心強いと感じた。実際、ロンドンの複数のコンサルタントによると、監視カメラの多いロンドン中心部よりも、監視カメラの少ない郊外の方が犯罪が多く危険だという。

掌形認証やカメラがあるから、警察犬がいるから大丈夫、というのは他力本願の「誤った安心感」だが(ダミーの場合はとりわけそうだ)、犯罪者側に警戒心を抱かせることに関しては、それこそ夢か魔法かという効果を発揮することもあるようだ。

NTT DATA AgileNet (岡田)

本コラムは、NTTデータのDigital Government メールマガジン 2006年1月26日号に掲載されたものです。

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