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第31回: 電子政府サービスで「善意の橋渡し」を

携帯電話やデジタルカメラ、MP3プレーヤーなど、小型の電子機器を持ち歩くことが多い時代になった。これらの機器は小型ゆえ紛失しやすく、その割には「体積あたりの価格」が高いため、紛失リスクは高いといえる。また、仮に機器そのものの紛失は許容できたとしても、その中に格納された情報や写真はお金では取り戻せない貴重なものであることも多い。

紛失した電子機器が手元に戻ってくる可能性を高めるにはどうすればよいか?それを考え、ビジネスとして実行している会社がある。そのひとつである StuffBakは、落とし物を持ち主の元に戻す仲介業者である。その仕組みはこうだ。サービスに登録すると、所有者IDとStuffBakのフリーダイヤル電話番号およびウェブサイトのURLが印刷されたラベルを入手することができる。このラベルを手持ちの機器に貼っておけば、たとえ紛失しても拾得者が容易に返還方法を確認でき、かつ拾得者に対して謝礼が支払われるため、戻ってくる可能性が高いというものである。USA Today などの報道機関がラベルを貼った機器を故意に“紛失”するテストを行ったところ、7割前後が戻ってきたという(StuffBakは、ラベル等のない通常の場合の返還率を約5%としている)。

こういった電子機器は、悪意ある人物に盗まれるより、単純に紛失することの方が圧倒的に多い。拾ったものを持ち主に渡したいが、持ち主が誰なのか、どうやって連絡すればよいのかわからない。警察に届けるのは面倒だし、ついつい先延ばしになってしまう・・・上述のサービスは、こうした拾得者の負担を減らし、善意の行動の阻害要因を取り除く気の利いたサービスといえるが、実はビジネスとしては成立しにくいようだ。同様のサービスはほかにも提供されているが、全体として認知度はあまり高いとはいえないだろう。

しかし、この考え方を行政サービスに取り入れることもできるのではないだろうか。例えば(自転車の防犯登録のように)警察などが発行した登録IDシールを購入し、所有する機器に貼る。このIDを発行者のシステムに登録しておけば、拾得者はインターネットを通じて、いつでもどこからでも拾得の事実を届け出ることができるようになる。シールの貼付が「拾得の際は交番等に預けず持ち帰って良い(届け出は電話やインターネットで)」という所有者の意思表示に当たるとみなせば、法的な問題もほとんどないのではなかろうか。

効率性や利便性に目が向きがちな電子政府だが、それだけではなく、人の善意を橋渡しするサービスも目指したい。

NTT DATA AgileNet (岡田)

本コラムは、NTTデータのDigital Government メールマガジン 2005年10月13日号に掲載されたものです。

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