現在10代から20代の世代は、ジェネレーションYと呼ばれている。IT革命とともに情報の時代が始まり、多様かつ急激な変化の波が押し寄せてきた結果、デジタルネイティブなジェネレーションYの行動や価値観は、それまでの世代とは大きく異なるものとなっている。スクールバスの中で隣の席に座っている友達とわざわざ携帯電話でチャットしたり、放課後はそれぞれの自宅からオンラインで集まってゲームをして遊んだりするといった感覚は、人によっては理解しがたいものに感じられるだろう。 こうした新世代の扱いを誤ると、世代間のギャップが悲劇を生んでしまうこともある。10月中旬、テレビゲームに没頭しすぎているとの理由から両親にゲーム機を取り上げられたカナダの15歳の少年が家出して行方不明になってしまった。後悔と困惑に満ちた父親の、「息子にとってゲーム機がそこまで重要だったとは想像できなかった。私がゲーム機を取り上げたことで、息子はアイデンティティーと生きる世界を失ってしまったようだ」という談話が世の親の共感を誘った。 皮肉なことに、行方不明が報道されてからの進展は顕著にWeb 2.0的であった。SNSに少年を捜索するためのグループが形成され、1週間で4,200人、2週間で1万7,000人もの会員が参加。ネット上で手がかりの収集・整理や最新の捜索状況の情報交換などを行ったほか、現実世界でも尋ね人の張り紙や最終目撃地点を中心とした捜索など数百人規模のボランティア活動を企画・実行した。 残念ながら、行方不明だった少年は3週間後に遺体で発見された。ボランティアが捜索した地域だったが、見逃しか漏れがあったようだ。せっかくの努力が実らない例をこれ以上増やさないために、行政やNPOがボランティアに協力し、GPS端末を貸し出したり携帯電話の位置情報を使ったりして捜索済みの場所を正確に把握し、漏れを発見できるようにしておくと効果があるかもしれない。 もちろん、デジタルネイティブな人々の育て方・付き合い方を社会全体で考えていくことが大前提となることは言うまでもない。米国やカナダの政府組織は、新しい行動特性を否定することなく、次の時代を担う若い世代を変革力の源としたり、世代交代を見越して若い世代が働きやすいように制度を改正したりしている。ワシントンDCで、行政が持つさまざまな生データをそのまま一般公開し、市民による分析・活用・フィードバックを奨励する取り組みや、SNSを活用した職員採用活動、テレワークの推進などがその例だ。今後はジェネレーションギャップを悲劇ではなく活力の源としていくことが重要だろう。
NTT DATA AgileNet (岡田)