全米高速道路交通安全委員会(NHTSA)の調べによれば、16~20歳の若者の死亡原因の第1位は交通事故である。事故防止のため、免許取得の最低年齢の引き上げを含む規制強化や教育拡充などが図られているが、それらの取り組みと並行して、GPSなどを利用した運行記録・通知サービスも増えている。中には、車の現在位置や速度だけではなく、ドアの開閉・シートベルトの着脱・エンジンの入切を記録したり、決められた地域・時間帯・速度を逸脱して運転した場合に保護者に通知したりするサービスもある。こうしたサービスの利用者は保険会社から割引を受けられる場合もあり、普及を後押ししているようだ。子供の立場からすると常に親から監視されて窮屈かもしれないが、一人で車を運転させてもらえる自由と便利さには代えられないというところだろう。 しかも、思わぬ副次効果もありそうだ。昨年、カリフォルニア州に住む17歳の少年に対して速度違反の切符が送られてきたが、その日時の運行記録を上記サービスの1つで確認した保護者は「違反はしていなかった」と異議申立てを行った。反証として十分な精度や記録密度があるとの専門家証言もあり、10月中に見込まれる判決に注目が高まっている。 ところで、GPSと交通ルールといえば、前々から思っていることが1つある。GPSや自動車が、交通違反をしないように手助けするようになってくれないものか。例えば、合流したり交差点を曲がったりした後、しばらくその道の制限速度がわからないことがよくある。土砂降りの夜で視界が悪い時も、全神経を歩行者や対向車に注ぎたいのに、制限速度の切り替わりを見逃して違反にならぬように標識も確認しなければならない。また、曜日や時間帯によって規制内容が変わる場合、標識の但し書きを読んだ後で今が該当するかどうかを考えなければならない(文字数が多くて読み終えることができず、あきらめて直進することもある)。GPSには「GPSが示す案内よりも、その場所の標識などを優先してください」といった注意書きがあるが、警察などから公式な規制情報がリアルタイムでGPSに届けられる仕組みがあれば、故意に違反しようとしない限り違反が起きない仕組み(その場所の制限速度でリミッターを作動させられる車など)を作れるのではないか。 そんなことを考えていたら、自動車税従量課金制度などの予備調査への協力者募集の案内が届いた。自家用車に専用のGPSを取り付けて、走行記録を当局が把握できるようにするものだ。第16号『ハイブリッド車は道路の敵? - IT利用による公平課税』で紹介した、“道路に与えた負担(どれくらいの車重でどの道路をどれくらいの距離にわたって走行したか)に応じて税額を調整する ”というオレゴン州の取り組みが広がりを見せているようだ。英国でも、道路混雑税の全国展開を比較的安価に実現でき、さらに時間帯に応じて課金額を変動させられるという効果を狙って、国内3,000万台の全車両にGPSを搭載しようとする動きもある。筆者の願いは意外に早く実現するのかもしれない。
NTT DATA AgileNet (岡田)