矛盾という言葉は「無敵の矛と無敵の盾は両立しえない」という教えだが、これはデジタルの世界にも当てはまり、侵入・妨害・ウイルスといった攻撃とそれらに対する防御のいたちごっこが繰り広げられている。一方、サイバー犯罪以外の分野でも、デジタルな矛や盾が攻防を繰り広げている。写真や絵画のねつ造・偽造とその検知が一例だ。 デジタル写真の普及に伴ってそれを編集するソフトウェアも発展し、加工の自由度が高まるとともに、好ましくない加工もされるようになってきた。特に、パパラッチ系の報道写真など注目度・影響度・報酬が高くなる写真はねつ造されやすく、掲載者側もそれを見抜く「盾」で防衛に努めている。デジタルな矛にはやはりデジタルな盾が有効のようで、複数の被写体を照らす光源の位置の一貫性などをコンピュータで分析して加工の有無を判定するのが基本技と聞く。 一方、アナログな手段で偽造された芸術作品の発見、つまり絵画の鑑定にもデジタル技術が活用されているという。筆遣いなどを数値的に解析し、「迷い筆」を浮き彫りにして偽造を暴くという手法が主流のようだ。この手法を使うと、詐欺的な偽造だけでなく、有名画家と同時代にその画風を真似て作られた別人の作品や、本人作であっても一部を他人が手伝った痕跡なども検知できると言われている。 日本ではもうすぐ裁判員制度が始まるが、米国の状況から推測すると、法律の素人が判決に関与する裁判では「百聞は一見にしかず」ということで視覚に訴える証拠や弁論が増えるはずだ。影響が重大なだけに、そうした証拠や弁論の真贋性や歪曲を確実に見抜けるような最新の盾を用意しておく必要があるだろう。
NTT DATA AgileNet (岡田)