ひょんなことから過去20年間の海外渡航歴を詳細に思い出す必要に迫られた。2001年以降については現在使用中のPDAに記録されているが、前世紀の情報は入っていない。そこで、15年前から8年前にかけて使用していた古いPDAを取り出した。 電源ボタンを押すと画面はつくものの、どうも調子がおかしい。こういう事態に備えて年に数回は電源を入れるようにしていたのだが、放置期間が長すぎてソフトウェア的におかしくなってしまったようだ。データのバックアップはあるが、それを読み出すことができない。高まる不安を抑えながら、システム領域のバックアップを復旧させる作業に入る。作業手順を思い出せるかどうか自信がなかったが、仕方なくシステムを初期化するボタンを押すと、意外にも再起動直後にシステム復旧方法が表示された。そういえば、バックアップを作成する際に復旧作業の手順書を作成して最初に表示されるようにしておいた記憶がある。そういう手間を惜しまなかった過去の自分に感心しつつ、無事にデータを復元して必要な情報を抽出することができた。 電子的な情報は複製や伝達の際に劣化しないことが強みだが、千年以上の時を越えて情報を残す紙や石や粘土と違い、情報の保存には弱いといわれている。そこにあるのはわかっていても読み出せなかったり、読み出せても内容を理解できるアプリケーションがなくなっていたりするリスクがあるためだ。バックアップをとっておくだけでは不十分で、バックアップ媒体の劣化防止や、バックアップを読み出せるハードウェアとソフトウェアの維持・保管、そしてバックアップの復旧方法やソフトウェアの操作方法の記録なども必要だ。こうした自衛策を講じるのは個人はもちろんのこと組織にとっても負担が大きく、従ってウェブ上のデータ保管サービスなどが注目を集めるわけだが、そういったサービスが廃業してしまうリスクも考えなければならない。対象となるデータが政府システム上の公文書となればさらに事は重大であり、バックアップを災害や盗難から守る必要性も高まる。初めから電子的に誕生し、紙などの原本がない情報がますます増加する中、データの保存・復元戦略に関する意識を高めていく必要があるだろう。
NTT DATA AgileNet (岡田)