先日参加した講演会で、サンマイクロシステムズ社のスコット・マクニーリー会長が、同社からスピンアウトした公益法人「Curriki」について熱弁をふるっていた。「カリキュラム」と「Wiki」をあわせた造語の社名から想像できる通り、オープンソースの教育支援ウェブサイトであるCurrikiは、教科書・副読本・マルチメディア資料・指導要領・カリキュラムなど、教育に必要なあらゆる情報や教材を蓄積し、無償で提供している。教育機会の拡大や平等化にITを活用するという崇高な思想に、日本語教材の取り扱いを働きかけたいと考えていたところ、同様の取り組みをNHKなどが始めているという報道を目にした。就学期を海外で過ごし、日本の教科書に触れられなかった経験がある筆者としては、成功を願わずにはいられない。 一方、別の分野でもマルチメディア資料を集める動きがある。これは8月上旬に話題を呼んだニュースで、一般市民が携帯電話などで撮影した犯罪現場の写真や映像を、ニューヨーク市警が受け付けるようになるというもの。新たな犯罪の通報や告発だけでなく、既知の犯罪の証拠収集にも使えそうだ。YouTubeなどの動画共有サイトには犯罪を告発する映像がしばしば投稿されているが、今後ニューヨーク市民はこういった映像を警察に直接提出できるようになる。 もっとも、仕事柄特に気になるのは、通報を受けた後の情報活用についてだ。110番や119番に携帯電話のテレビ電話機能を使ったマルチメディア通報があったとき、受け手側はその映像を活用できる態勢にあるだろうか?米国では現在、E911という機能強化型緊急通報受付システムの整備が進められており、携帯電話については内蔵GPSや基地局との距離などから割り出した現在位置を指令センター側が把握できるようになりつつあるが、テレビ電話への対応はこの計画には含まれていない。 飛行機の無線が故障した際に、携帯電話のショートメッセージ機能を使って管制塔と通信し、事なきを得たなどというニュースも聞かれる昨今である。通信手段の多様化・高度化に合わせて、受付側も様々な通信手段に対応して待ち受けると同時に、送られてくる情報を有効活用できるような態勢を整える必要があるだろう。
NTT DATA AgileNet (岡田)