今年初め、連邦政府の行政管理予算局(OMB)は、おそらく建国以来二百数十年間続いてきたであろう業務慣習を廃止すると発表した。大統領予算教書の紙による配布である。毎年3,000部ほど印刷して議員等に送付してきたが、今年からは大統領府ウェブサイトにおける閲覧とダウンロードのみの“e-予算(教書)”になりますという発表だ。どうしても書籍版が欲しい場合は、政府印刷局から一式213ドルで購入することになる。 添付資料等を含めると4冊・2,200ページに及ぶ予算教書一式は、紙媒体なら5kgほどの重さになる。これを電子版のe-予算に完全移行することにより、紙の消費量が毎年18トン以上削減され、480本の樹木が救われるようになるという。もちろん、書籍版の発行費(年間20万ドル)も不要となる。 早速ウェブサイトを開いてみると、タブレット型パソコンでe-予算を表示させながら閣議に臨むブッシュ大統領の写真が掲載されている。その際の挨拶も MP3ファイルで聞くことができ、「予算の内容にも工夫を尽くしているが、今年は議会送付の方法にも革新的な変更がある」といった趣旨の発言でe-予算が宣伝されている。 全体的に好ましいニュースだが、実際のe-予算(PDF版)をダウンロードしてみると、改ざん防止機能が使われていないことに気づく。つまり、作為的かどうかは別として、数値や文言が書き換えられた予算教書が出回ってしまう可能性がある。改ざんしても容易にばれるはずとはいえ、無用な混乱を避けるためには、(電子署名が理想的だが)パスワードロックなど、最低限の保護はかけておくべきだろう。ちなみに、このような行政府の手抜かりを指摘するのが目付役の GAO(政府説明責任局)だが、OMB同様今年から全面電子化されるGAO報告書も、実は改ざん防止の措置がとられていない。GAOよ、お前もか・・・というところだが、そのうち「e-予算は改ざん防止措置が講じられているべきだ」という指摘が、(いつの間にか改ざん対策がなされている)GAO報告書に掲載されるかも知れない。
NTT DATA AgileNet (岡田)