今朝のテレビで、「今日は首都圏の地下鉄が特別警戒態勢になる」とのニュースが流れた。今夜行われるブッシュ大統領の一般教書演説という重要式典に備えるためで、連邦航空保安官などの応援を得ながら、主要な駅の巡回警備を強めるという。筆者を含む地下鉄利用客からすれば、スリや強盗の危険が減ってありがたい一方、テロに巻き込まれる可能性が高い町に住んでいることを改めて実感させられる。 しかし、絶対にテロに巻き込まれない(はずの)人がいる。国の「指定生存者」だ。文字通り、生き残る責任を課せられた人である。一般教書演説には正副大統領・連邦省庁長官・上下院議員・最高裁判所長官など米国の要人のほとんど全員が集結するため、大規模な事件や事故で多数が死亡したり執務不能に陥ったりすると、国家機能が停止してしまう。そこで、大統領継承権のある人物を遠方に隔離して厳重に警護し、万一の際はその人物が大統領となって行政を再開するという措置がとられるのだ。冷戦時代に核攻撃を警戒して始まったもので、これまでは商務省・内務省・農務省の長官(それぞれ、大統領継承位10位・8位・9 位)が指定されることが多かったようだが、昨年・一昨年は司法長官(7位)・退役軍人省長官(14位)が実質的な指定生存者であった。 2005年以降は、立法府機能の継続のため、上下両院の共和党・民主党議員1名ずつ計4名も指定生存者に加えているようだが、大統領選のある今年は立候補中の現職議員が各地を遊説しているので、彼らが遊説先に留まることで実質的な指定生存者となるのかもしれない。選挙に集中したい立候補者にとっては願ってもない欠席理由といえそうだ。 米国の危機管理・業務継続性保障への取り組みにはいつも感心させられるが、2003年のSARS流行の際は、シンガポールも政府要人や公安関係者を複数のグループに分離し、テレビ会議を使うなどしてグループ間の直接的な接触を断つことで、全員が感染してしまう危険を避けたという。日本の危機管理態勢も世界に誇れるものであって欲しい。
NTT DATA AgileNet (岡田)