ライト兄弟が人類初の動力飛行を行ってから100余年、いやちょうど104年が経つ。彼らの飛行機“ライトフライヤー”には補助翼がなく、機体を左右に傾けるためには、主翼をワイヤで引っ張って「ねじる」仕組みになっていたという。飛行機といえば金属でできた機械的なものを連想してしまう世代の筆者は、とても原始的に思えるこの構造を、当時の苦労を象徴するものとして捉えてきた。ところが先日、NASAの研究所で、翼をねじる飛行が最先端技術として研究されていることを知って驚いた。翼の軽量化、空気抵抗の低減、そして高速飛行時の操縦性向上などに有効なのだという。100年前の「ねじり」の構造は今よりずっと単純ではあったが、現代にも通用するほど深い意味を持っていたとは、先人の設計と知恵に感心するばかりである。 本質的に同様な話は、IT分野でもありそうだ。例えば、連邦政府主催のある会合で、某標準化団体の幹部が次のような逸話を紹介してくれた。 「我が家には古いタイプライターが飾ってあるのだが、先日親戚を集めてパーティを開いた際、子供たちがそのタイプライターに群がり、『ねえ、これ何?』と興味津々の様子だった。そこで『ほら、こうやってキーを叩くと、それに対応したハンマーが動いて、紙に文字が打ち出されるんだよ』と教えると、子供たちは目を丸くしてこう言った。『うわーすごい!これがあればプリンターは要らないね!』」 進歩を急ぐ過程で、大事な原理を見逃してしまうことが往々にして起こる。さて、この子供たちの反応からは、どんな原理に回帰し、どんな最新技術を導くことができるのだろうか?
NTT DATA AgileNet (岡田)