ある連邦捜査機関に勤める友人との間で、日米の電子政府の話になった。CIO大学院(米政府機関などにおけるITの担い手を育成する教育プログラム)で学んでいる彼はこう言った。「アメリカの電子政府に、日本が見習うべきところがあるのか?」驚いて、なぜそう思うのか聞いてみた。彼の見解はこうだ。戦後日本の高度成長は品質管理という概念に負うところが大きいが、「品質管理の父」と呼ばれ、日本の経済発展に大きく貢献したエドワード・デミング博士の偉大な教えに、アメリカは何十年間も見向きもしなかった。日本はこの教えを正しく理解して真摯に努力を重ね、世界トップクラスの経済大国に成長したが、アメリカはせっかくの逸材を活かすことができなかった。この話の印象が強いため、ひょっとすると今度も日本はアメリカが見逃している何かに気づいているのではと思う。
うーん、と唸らされた。情報時代への変革をいち早く悟ったアメリカは、勝者であり続けるため、工業時代に築いたやり方を建設的に破壊している。ゴア前副大統領が言ったように、「政府というものを再発明」しようとしているのがひしひしと伝わってくる。方や日本は、「改革なくして成長なし」と頑張ってはいるものの、その足取りは重いと言わざるを得ない。残念ながら今回は、日本が上手を取っているということはなさそうだ。
誰しも変化をくぐるのは辛いし避けたい。これはアメリカでも同じだ。しかし、21世紀のアメリカは、「変化しなければ陳腐化してしまう」「逆に、積極的に賢い変化を遂げ、勝ち組になろう」という意識が芽生えているように感じる。では、どのように変化すればよいのか?それを示すのがエンタープライズアーキテクチャ(EA)である。EAは今でこそ重要な概念と認識されているが、提唱者であるジョン・ザックマンは、過去10数年間にわたって大きく取り上げられることはなかった。しかし今では、アメリカは彼を「EAの父」と称えている。日本がアメリカに先んじてEAの概念を実践していたとしたら、日本の電子政府はどのような展開を見せていたのだろうか。
NTT DATA AgileNet (岡田)